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「たゞし、預かるだけだよ。この分が残つている間はいくら後から来ても貰はんよ。いゝかね」
「や、これは。高間さんですか。お久しぶりで」――「お忙しいですか」
顎から後頭部にかけてと背部と二所を大きく繃帯でぐるぐる巻きにされた男は、やがて待合室へつれて行かれ、ごろりと転がされた。はじめからしまひまで一言も口を利かなかつた。
「やっぱり半之丞の子だったですな。瓜うり二つと言っても好よかったですから。」
「いや、どうぞ構はんで下さい」
「さあ、どうぞ。ずつとお通り下さい」
「うむ」
徳次はきまり悪げに、しかし、又あのきよろりとした眼つきにかへりながら云つた。
「さあ、知らん」
今度はかるく甘えた、羽毛でくすぐるやうな調子があつた。房一はざぶりと水を顔にぶつかけただけで立上つた。
「小倉組の連中が来たちふぢやないかね。ほんとうかね」
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